コラム

汚れの性質

汚れの性質から選ぶ洗浄ソリューション

汚れの性質と最適な洗剤の選び方

金型やパーツの汚れ除去は洗浄機の性能だけでなく、化学的性質に合わせた洗浄液の選定が不可欠です。

酸性の汚れ(樹脂ヤニ・油汚れ・皮脂・炭化物)

汚れの性質:酸性

酸性汚れの特徴と具体的な種類

有機成分(脂肪酸や油脂、有機ガスなど)を含んでいるのが大きな特徴です。加熱・加圧される製造現場では、頑固に焼き付いて固化・難溶化しやすい特徴を持っています。

  • 樹脂成形時のガスヤニ: プラスチック成形時に樹脂が熱分解して発生するガスが金型表面に凝着したもの。
  • 油汚れ・防錆油: 加工油、防錆剤、潤滑グリース、機械油など。
  • 皮脂・手垢・血液・汗: 搬送やメンテナンス作業時に作業者の手から付着する有機系汚れ。

洗浄メカニズムとおすすめの洗浄液

酸性の汚れに対しては、反対の性質を持つ「アルカリ性洗浄液」を使用するのが基本原則です。

アルカリ成分が酸性油分の「脂肪酸」と化学反応(けん化作用)を起こし、水に溶けやすい石鹸状に変質させることで、固着した汚れを浮き上がらせてキレイに洗浄・除去します。

※ アルミ・アルマイト素材の場合の注意点
アルカリはアルミニウムやアルマイト(陽極酸化皮膜)層を強く侵食し、短時間で表面の白化や腐食を進行させる性質があります。アルミ製パーツや金型を洗浄する際は、処理時間の厳密な管理や、適合する洗浄液の精査が重要です。

アルカリ性の汚れ(水垢・スケール・錆・カルキ)

汚れの性質:アルカリ性

主な汚れの正体

金型の冷却水路内に固着する水垢(カルシウム・マグネシウム分)、スケール、赤錆など無機系のミネラル固着物。

効果的な洗浄方法・洗浄液

酸性洗浄液(FP剤など)が効果的です。
固着したミネラル成分や酸化物を酸の化学反応で分解・溶解します。
※炭酸カルシウムや酸化ケイ素を含む汚れは完全に除去するまでに一定の洗浄時間を要します。

扶桑精工の技術:イビット剤(腐食抑制剤)の役割

通常の酸は金属(地金)自体も侵食してしまいますが、
扶桑精工のFP剤には、金属表面を保護する「イビット剤」を添加。
地金へのダメージを抑えながら、汚れだけを安全に効率良く落とす設計になっています。

中性の汚れ(花粉・ほこり・微粉塵・研磨粉)

汚れの性質:中性

中性汚れの特徴と具体的な種類

化学的な酸・アルカリ反応を起こさない無機質・乾燥型の浮遊付着物です。基本的には「付着しているだけ」の軽い汚れが多いですが、微小な凹凸に入り込むと取れにくくなります。

  • ほこり・ハウスダスト・花粉: 空気中を漂い、静電気や結露によって製品や金型表面に固着する粒子。
  • 微細な粉塵・研磨削り粉: 切削・研磨・ショットブラスト等の加工工程で飛散し、隙間や細孔に入り込む金属粉末や砥粒。

洗浄メカニズムとおすすめの洗浄方法

化学反応で溶かすことができないため、「界面活性剤の力で表面張力を下げて浮かす」、「物理的な物理洗浄力で剥ぎ取る」ことがアプローチの中心となります。

基本的には中性洗剤を使い、洗浄機の物理的な作用により、目に見えない微細な隙間の粉塵までキャッチして洗い流します。

※ 頑固に固着した中性汚れの除去対策
時間が経ってプレス圧力や熱で固められた研磨粉・微細粉塵は、中性洗剤の浸透力だけでは落ちない場合があります。その場合は「スクレイピング(こそげ落とし)」や「ブラッシング(磨き落とし)」などの物理的な力、あるいは強力な超音波振動の併用が必要です。

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